研修でよくある質問(5)

私の中にあったはずであった独立するという目標が、GEの幹部による何気ない一言で呼び覚まされました。ではなぜ独立志向が私の中にあったのかということにお答えしないと、「なぜ独立したのか」という問いに答えたことになりません。

1つは、すでにお話ししましたように、独立した数々の素晴らしいコンサルタントの先生たちのようになりたいという望みでした。そうしたロールモデルと触れ合い、多くを学ぶ機会を得られたことはとても幸運であったと思います。

もう1つの要因は、私の母の言葉にあります。私の母は、高校を卒業後、洋裁を学び、自営業者としてずっと暮らしていました。本当は医者になってアメリカに行くことを夢見ていたとのことでしたが、祖母に反対されてその夢は叶わなかったとのこと。

母は私が政府系のシンクタンクに就職した後、折に触れて「いつまで人に使われているんだ」ということを言っていました。20代から30代の私には、「そんなこと言われても」という気持ちにしかなれませんでしたが、「いつかはその言葉に応えてみせる」という考えもありました。

独立してコンサルタントになることを前提に、41歳でそのシンクタンクをやめてMBAにチャレンジするという話をしたときにも母は応援してくれました。

私の決断を伝えて間もなく、母は病に倒れて入院し、MBAの入学式の朝に息を引き取りました。残念だったのは、私が独立したことを母に直接伝えられなかったことです。

私の独立志向のベースは、母の「いつまで人に使われているんだ」という言葉だったのであると思います。

2024年10月09日