研修でよくある質問(3)

「なぜGEをやめて独立したのですか」という質問も大変よく尋ねられます。GEには約7年半勤務したのですが、お陰様で会社からの評価も上々でしたので、そのまま勤め続けることもできたのですが、いくつかの要因によって独立しました。

私は元々、独立してコンサルタントになりたいというキャリアゴールを描いていました。就職して4年目くらいから、数々の独立したコンサルタントの先生たちと研修の事務局として触れ合い、いつかは自分もそうした先生たちと同様、自分の腕一本で仕事をしていける人になりたいと思うようになりました。

独立したコンサルタントの先生たちは、その多くが定年退職後に独立した人たちでしたが、特に優れた先生たちは定年前に独立して活躍されていました。企業で長年働いて退職金をもらい、年金も支給されて、暮らすのに不自由がない状況で独立するのと、そうした保障がない状態で覚悟を決めて独立するのとでは、仕事に対する心構えが違います。

孫に何か買ってあげるため、孫への小遣い稼ぎ程度に働いている人と、いつ仕事がなくなって家族を養えなくなるかもしれないという緊張感をもって仕事をしている人とでは、仕事への取り組み方も結果もまったく違います。私はそうしたさまざまなコンサルタントの先生たちを見ていて、自分は45歳から55歳くらいには独立しようと目標を定めました。それが20代後半頃のことです。

GEをやめたのが53歳の時でしたので、年齢的にも独立するには良いタイミングかなと思っていました。しかしGE社内外での評判も良くなってきますと、ずっとその評判の中に安住したいという気持ちも芽生えてきます。

社内では、人事評価はもちろんのこと、海外に教えに行けばビジネスクラスに乗って、到着した空港では高級車が待っています。ホテルはエグゼクティブ・フロアーの部屋かスイートルーム。社外では、いろいろな講演に呼ばれたり、雑誌などの取材を受けたりと、悪い気はしません。当然、いろいろなヘッドハンターから声をかけられ、自分の市場価値もわかってくるようになります。

知らず知らずのうちに天狗になりかけた時、自制するきっかけがありました。(続く)

2024年10月03日