器と中身

いろいろな企業の研修に携わっていますと、どうもその多くが人の器の中身を増やしたり、充実させたりすることに注力しているように思えてなりません。

中身とはつまり、知識やスキルなどを指します。一方、その中身を入れる人としての器を大きくすることは、あまり意識されていないような気がします。

器の大きさが同じなのに中身だけ増やしたら、やがてあふれてしまいます。

あるいは大きな器の人なのに、適切な教育や経験が与えられないため、中身がスカスカだったりするのは残念なことです。

拙著の第一作「仕事の基本」の中で、私は人間能力ビアジョッキ論という考え方を紹介しました。

多くの人の器は、だんだんと大きくなるのですが、一定程度の大きさになると高原状態となって、それ以上大きくなりません。

それは熱いガラスの塊が、だんだんとビアジョッキに形成されていく様子に似ています。

ガラスの塊よりはビアジョッキのほうが大きくなったように見えますので、本人も周囲の人もその人が成長したかのような錯覚に陥ります。

しかし小ジョッキの器の人は、何もしなければいつまで経っても小ジョッキのままなのです。

ガラスの器をいくら引っ張ってみてもそれ以上大きくなりません。

優れたリーダーたちは、ビアジョッキのように「小・中・大」と非連続的な成長を遂げているといるのです。

つまり人の器を大きくするためには、非連続の大きなジャンプのような成長機会が必要になるのです。

この非連続の成長機会を、職務や研修によって提供すべきなのです。

器の大きさの違いは、発揮するリーダーシップの違いに表れます。

企業の人材開発担当者の皆さんには、もう少し器を大きくすることに着目してもらいたいものです。

2026年06月29日