遙か遠い昔の出来事なのに、思い出すたび頬が緩んでしまうことはありませんか?
ポジティブにしろネガティブにしろ、感情が大きく揺さぶられるような経験は長期記憶として脳に格納されますし、時々思い出すことでその記憶は強化されます。
私が大学生だったときの話です。1980年代初めのことですからもう40年以上前のこと。
私は大学の近くにあった行きつけの定食屋で、人気メニューだった豚肉の生姜焼き定食を食べていました。
いまでもそのときのお店の様子を覚えているのですが、昼食時間のピークではないタイミングでしたので、店内はすいていました。
私が食事をしていたら一人の学生が入ってきて、私と同じカウンター席に座りました。
彼は、メニューにざっと目を通し、「豚肉のなま生姜焼きください」と店員に告げました。
私はその注文を聞いて、「なま生姜焼きなんてあるんだ、知らなかった」と思いました。
私はその定食屋では、名物でもある「豚肉の生姜焼き」しか頼んだことがなく、メニューにはしばらく目を通していませんでした。
私は食事の手を止めてメニューに手を伸ばし、「なま生姜焼き」を探しました。
しかし見つかりませんでした。そうです、その学生は「生姜焼き」の「生」を二度読みしていたのです。