企業の経営幹部として身につけておくべき基本的スキルセットとマインドセットは、あたかもコンピューターを動かすソフトウエアのオペレーティング・システム(OS)
のようなものです。
このOSがしっかりと備わっていなかったり、古いバージョンのものであったりすると、そこにどんなに最新のアプリケーション・ソフト(マネジメント・ツール)をのせても機能しません。
グローバル企業や日本の優れた企業は、この基本OSを経営幹部やその候補者にしっかりとインストールし、常にバージョンアップをしています。一方、組織の風通しが悪くて業績が思わしくない会社は部門ごとにこのOSのバージョンが異なっていて、組織としてうまく機能していません。
多くのリーダーシップ研修は、アプリケーション・ソフトを提供して参加者に対して知識やスキルの品揃えを増やそうとします。もちろんそれはそれで意味がありますが、そのアプリをどの程度活用できるかは、やはりOSにかかってきます。
このリーダーシップのOSを具体的に開発することこそがリーダーシップ開発において忘れられがちな部分です。
なぜなら、アプリケーション・ソフトは毎年のようにさまざまなツールが発表され、人材開発担当者の目にとまりやすく、研修参加者も勉強した気分になりやすいのですが、一方でリーダーシップ能力の基盤であるにもかかわらずOSは地味なため、あまり目を向けることがないからです。
流行り物のアプリをインストールする前に、果たしてそのアプリを活用できるOSがインストールされているのかどうかチェックすることを忘れないようにしたいものです。