人生の岐路(13)

シングルハンディだった叔父と同等のスコアが出るようになりましたが、たまに知り合いのプロと一緒にプレーしたり、ミズノのようなスポーツ用品メーカーが主催するアマチュアの大会に参加したりするようになるにつれ、自分はプロになれるレベルではないことを自覚しはじめました。

私より7歳くらい年上の幼なじみがいるのですが、彼は高校生時代のサッカーの成績で某有名大学に推薦入学できたくらいの恵まれた体格と優れた運動能力を持っていました。

当時はJリーグなどなく、また実業団にも入れず、サッカー選手としての道を諦めゴルフ場に所属するプロゴルファーになりました。

毎日ゴルフ場での仕事が終わった後も大変な練習量をこなしたのですが、ツアープロにはなれませんでした。彼のそんな姿を見ていて、私はプロゴルファーになることを断念しました。

彼はその後独立し、都内にゴルフショップを開きました。

私が社会人になってしばらくしたとき、地元の駅から出発する電車の席に彼が座っているのを見つけました。

大人になってからは疎遠になっていましたが、彼の姿を見てプロゴルファーになりたかったときの自分の熱意が懐かしく思えたのと同時に、その夢を叶えることができなかった者として感傷的な気持ちにもなったことを覚えています。

小さい頃からの夢を実現できる人はほんの一握りだと思います。

たとえその夢が叶わなかったとしても、自分の好きなことを仕事にできる人は、またほんの一握りかもしれません。

自分が熱意を持てることを仕事にできる人は幸せだと思います。逆に、当初は熱意がなかった仕事に就いても、その仕事をしているうちに興味関心が高まって熱意を持つことができるようになることもあります。

「好きこそものの上手なれ」ということわざがあります。要は自分がやっている仕事を好きになることができるかどうかが、大部分の人にとっては大切なことであると言えるのではないでしょうか。

2025年12月26日