本のタイトル(2)

編集者と議論を進め、編集者から出た案は、「世界最高のリーダー育成機関で幹部候補にだけ教えられている仕事の基本」でした。

私は、「にだけ」という言葉に違和感を覚え、「だけに」が良いと提案しました。

このタイトルを決める議論は、私が某社の役員研修をしていた東京の帝国ホテルのロビーにあるカフェで行われました。

研修終わりに編集者が帝国ホテルに訪ねてきてくれて、ロビーラウンジでコーヒーを飲みながら、「幹部候補にだけ」「幹部候補だけに」と二人がそれぞれ声に出して何度も繰り返している様子は、周囲の人たちから見れば不思議なものだったでしょう。

編集者がなかなか折れてくれないので(笑)、私が、「ほら、昔のグループサウンズのヒット曲のフレーズに『君だけーにー』っていうのがあるでしょう」と歌って聞かせたのですが、いかんせん編集者は30代で、その曲を聴いたことがありません。

ザ・タイガースの『君だけに愛を』がヒットしたのは、私が小学二年生の頃。まだ生まれてもいない編集者が、その曲を知る由もありません。

後になって、少年隊の『君だけに』を歌ってあげれば(笑)、編集者も納得しやすかったかなと思いましたが、そのときは思い浮かびませんでした。

その後、編集者に対して説得を続け、どうにか「だけに」で合意してもらいました。

私の本が出版されて以降、「だけに」は、あまり着目されませんでしたが、「世界最高」がタイトルに付いた本が増えていったように思うのは気のせいでしょうか。

お陰様で同書は、数ヶ月連続で重版となり、アマゾンでは取り扱っているすべての本のランキングでTop5に入り、リーダーシップのジャンルでは数ヶ月にわたって1位を続けることができました。

これはタイトルのせい「だけに」よるものではないと自分では信じたいのですが(笑)

2025年09月28日