最近、つくづく身にしみるのが、スティーブ・ジョブズの3つの質問です。
その1:私は自分が望む人生を生き、自分がやりたい仕事をしているだろうか?
その2:今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることをやりたいと思うだろうか?
その3:私は、自分が心から愛することをやっているか?
スタンフォード大学での有名なスピーチなのでご存じと思いますが、余命宣告を受けたジョブズのこの質問は、人生の残り時間が少ない私には、とても刺さる言葉です。
幸い、私は人材開発という世界でキャリアのほとんどを過ごすことができました。
元々人に興味があり、とくに人の成長が自分の喜びや幸せになるという自分にとって、人材開発という仕事をやり通せたのは、本当に恵まれていたと感じます。
GEにいたとき、人事の責任者と私の部下を一人増員することについて話し合ったことがありました。何人かの候補者の名前を挙げ、具体的な検討段階に入ったときのことでした。
私がよく知る候補者Aさんについて話し合いましたが、その人事責任者は私より長い間その候補者AさんとGEで仕事をしてきましたので、私よりその候補者についてはよく知っていました。
その候補者と私とはとても仲が良く、この増員の話が持ち上がる以前から、私のチームに異動したいと本人も言っていたので、是非この異動を実現させたかったのです。
しかしその人事責任者は、「Aさんは人材開発の仕事が好きという感じではないよ」、「人材開発の仕事は、他の仕事に比べて、本当にその仕事が好きじゃないと務まらないよ」という人事責任者の言葉で、私はAさんのことを諦めました。
Aさんはその後、人事のゼネラリストとしてのキャリアを積みましたが、数年後に一念発起して自分がやりたかったことを実現するため、まったく違う世界に飛び込みました。
その他の候補者たちも、人事のゼネラリストとして活躍しつつ、研修のインストラクターとしても優秀な人たちであり、生粋の人材開発パーソンということではなく、人選に苦戦し続けることになりました。
人材開発の仕事を心から愛している人を見つけるのは難しいことなのでしょうか。