アクションラーニングについて考える(3)

本来、アクションラーニングのテーマは、評価者がリアルに抱えている問題や実現したい課題にすべきなのです。ところが、研修事務局は評価者である役員に対して、「テーマを考えてください」などと恐れ多くて依頼することができないというケースがあります。評価する人が、自分が出したテーマではないことに対する提案を、真剣に聞こうと思うでしょうか。

こうした状況では、参加者としても、せっかく提案した解決策やアイデアについて、それらが実際に取り入れられるかどうかわからなくなります。GEに入る以前、ある会社でアクションラーニングの発表を終えた時のことでした。あまりの役員たちの反応の薄さに、参加者から「これは一体どういう目的で行われているのか」、「あくまで研修(思考の訓練)としてアイデアを提案したのか、それとも良い提案は取り入れるつもりがあるのか」と問いただされたことがありました。

評価者のコミットメントは、テーマ設定から評価、そしてアイデアを導入するかどうかの判断まで強く影響を及ぼします。実際の研修でも、参加者に対してアクションラーニングの説明をするときには、「あたかも社外のコンサルタントになったつもりで、問題解決やアイデアの提案をするように」と指示していました。

第3の狙いである、学習フェーズの学び(知識)を実践で応用できるスキルに落とし込むということの重要性は言うまでもないことです。アクションラーニングは、個人およびチームとしてのリフレクションが鍵になります。まさに経験学習のサイクルである、「経験」、「経験のレビュー」、「経験から教訓を学び取る」、「次のステップを計画する」という循環を回すことが求められます。

(続く)

2025年04月23日