初日の昼近くになると、それまで腕組みをしてピクリともしなかった人たちの多くがメモを取り始め、表情も和らいできました。午後には普通の人間らしさ(?)が出てきて、初日夜の懇親会は大いに盛り上がりました。研修中に微動だにしなかった人が楽しそうに会話しているのを見て、一体どうなっているのかなと不思議に思ったものです。
オンとオフとでこんなにも違う人々を見たのは初めてのことでした。お酒が入らないと話ができない人がいますが、果たしてお酒だけが要因なのでしょうか?実はその後、共感能力についての論文を読んで、その理由がわかることになるのですが、それはまた別の機会に。
研修2日目には活気ある雰囲気の中で、活発な議論が展開されました。研修開始時の硬い雰囲気と参加者の態度では、前任のコンサルタントの人が逃げ出してしまったこともうなずけます。おそらくタフな参加者に直面したことがあまりなかったのかもしれません。私は、GEでいろいろな国々の人たちを教えたことにより、多少なりともタフな参加者を相手にしたときのストレス耐性が高まっていたのかもしれません。
もちろん、GEの研修参加者の態度が悪いということによってストレス耐性が向上したということではなく、知的に優れた人々ばかりでしたので、知的にタフな経験を積むことができたという意味です。また、日本人のように、先生の言うことを素直に聞いて学ぶ、という態度ではなく、OECDに加盟するような国々では中学生くらいから批判的に先生の話を聞くという、いわゆるクリティカル・シンキングが鍛えられていますので、鋭い質問がどんどん飛んできます。
47歳になるまで日本人しか教えたことがなかった私にとっては大変なチャレンジでしたが、そうしたGEでの経験が、態度の悪い参加者を目の前にしても動じない心を養っていてくれたのかもしれません。