私は基本的には企業内研修を行っていますが、「浮世の義理」で公開講座の講師も務めています。企業内研修は、課長クラスおよびそれより下のクラスの必修研修はお断りし、部長クラス以上の選抜研修と役員を対象とした研修をメインに行っています。
公開講座や必修研修をお断りする主な理由は、やる気のない参加者がクラスに存在する比率が高いからです。まさに玉石混交といった状態がそうした研修では多く見られます。そうした研修では、「玉」にあたる優秀でやる気のある参加者が、「石」にあたる参加者による悪影響で、せっかくの学習機会を十分に生かすことができません。その結果、全体的に低いレベルでの学習で終わってしまうのです。
私は若い頃、そうした階層別公開講座や必修研修の主催団体で事務局をしてきましたが、単に参加者のアンケート結果が良ければ、その研修は良い成果を生み出していたのだろうくらいにしか考えていませんでした。当時は講師を務めていませんでしたので、参加者のやる気の度合いを計り知ることができなかったのだと思います。講師を務めて初めてわかるものなのかもしれません。もちろん、公開講座や必修研修の意義を全面的に否定している訳ではありません。
企業内研修を行うほどの従業員がいない、あるいは予算がないといった会社にとっては、公開講座は大変重宝します。また、人員や予算は十分あっても、他流試合という意味合いで公開講座に派遣するという場合は、前向きな方策として効果的でしょう。必修研修についても、昇格の節目研修で知識やスキルのレベルを合わせるという役割もあるでしょうし、またいわゆる業務スキルについては必修とすべき研修もたくさんあるでしょう。そうした研修を行う講師は山ほどいるので、その人たちが行えば良いと思います。
ただ私の場合は、私にしかできないことをするのがミッションであると考えていますので、選抜された経営幹部やその候補者を育成するということが主な仕事になります。そうした選抜研修では、やる気のない参加者にはほとんど会うことがありません。いたとしてもクラスの5%くらいで、誤差の範囲でしょう。選抜研修でそうしたやる気のない人については、本来は早期にその研修から排除すべきなのですが、日本企業ではそれは難しいでしょう。
ですので、私はそうした人をやる気にさせるようにあの手この手を尽くしてみることにしています(笑)。そうしたやる気のない態度を取る人は、自分に注目してほしいという心理が働いているケースが多いので、無視したり放っておいたりするのではなく、注目してあげるとよいのです。
公開講座の参加者は、会社からの指示で研修に参加しているわけですが、やる気を見せる優秀な人は2割。やる気があるわけでもなく、ないわけでもなく普通に参加している人が6割。やる気がない人が2割。大体のケースでこの2:6:2の割合になります。
研修会場でやる気のない人たちを目の前にすると、大変腹立たしくなると同時に、そうした人に会社の大切なお金を費やしているのかと思うと、派遣している会社に対して同情を禁じ得ません。階層別の必修研修も、ほとんど同様の比率で参加者を区分することができます。「浮世の義理」で過去7-8年担当してきた公開講座も、2025年度のクラスで最後にしようと考えています。やはり本来やるべきでない仕事は、やってはいけないのだと、今更ながら反省する今日この頃です。