いろいろな会社に研修講師として行きますが、たいていの場合、講師用としてペットボトルの水を用意してくれます。お付き合いの長い会社ですと、カフェラテや紅茶など私が自分で持ち込む飲み物を覚えていてくれて、用意してくれるありがたいクライアントもあります。そしてごくまれにですが、水も何も用意してくれない会社もあります。朝から夕方まで行う研修であっても、昼食の弁当を用意していただけないという会社もあります。
私が研修の事務局の仕事をしていた若手・中堅社員の頃、講師と昼食を共にすることで、いろいろな話を聞くことができ、それは最高の学びの時間でもありました。数々の経営者たちから聞いた裏話などは、何十年経っても忘れることができません。
水を用意してくれない会社は、「水くらい自分で買ってこい」ということかもしれませんが、通常はクライアント側で用意してくれているので、こちらもそのつもりで行きます。会場に到着して、飲み物が用意されていないということを知り、飲み物を買いに行く時間がない、あるいはコンビニが近くにない場合、飲み物なしで話し続けることになります。長時間話し続けたことがない人にはわからないでしょうが、水分補給は講師にとってとても大切なことなのです。
先日研修をした会社では、ペットボトルの水を用意してもらえていませんでした。お昼は参加者と同じお弁当が用意されました。お昼を食べるために別室を用意してあるということで、そちらに移動します。別室には、緑茶が用意されているのかなと、淡い期待を抱きつつ部屋に入りますが、弁当以外何もありません。昭和のおじさんは、弁当には緑茶が必要です(笑)。がらんとしたテーブルに弁当ひとつ。その部屋に案内してくれた人も、ふと気がついたのか、「何か飲み物を買ってきましょうか?」と聞いてくれました。本当に用意する気持ちがあるなら事前に買ってあるはずですので、その問いは社交辞令と受け取り、「いえ結構です。自分で買いに行きますから」と答えました。
ドアを閉めてその人は出て行きましたが、2-3分経った頃、ドアをノックする音がします。気を利かせてお茶を買ってきてくれたのかなと思い、ドアのほうを見ますと、先ほど案内してくれた人の手にはスターバックスのドリンクが握られていました。こんな短時間で買ってこられるわけがないし、何なのだろうと思っていますと、「飲み物お持ちしました」とその人が言います。それは紛れもなく、朝、私がその会社に行く途中で買ったスタバのカフェモカでした。残量は底から2センチくらい。講師席のテーブルに置いてきたものを持ってきたのです。
「和風弁当にカフェモカかいっ」と心の中で突っ込みましたが、「あぁ、どうもすみません」と返しました。それが研修初日の出来事で、その後も何か起こるのではないかと何か嫌な予感がしましたが、その予感は的中し、その後数日間の研修は事務局によるトラブルが続きました。事前の研修準備に関するやり取りをしていても、研修に不慣れなスタッフたちであることがわかりましたが、予想外のトラブルがたくさん起こり、普段経験しない種類の疲労を感じました。