経営幹部として組織の上位職位者であったとしても、必要に応じて見事にフォロワーの役割を果たすことができる好例として最も印象に残っているのが、私がGEに入社した最初の年に責任者を務めたプログラムでの出来事です。
このプログラムは、GEの大切な顧客企業の経営トップの皆さんをニューヨークのクロトンビルのキャンパスにご招待して、1週間さまざまなセッションを受けていただくというものです。
私は入社して約8カ月。しかも初めてクロトンビルを訪れて、いきなり顧客向けプログラムとしては最上位のコースの責任者として実施することになったわけです。このときの苦労話だけで1冊の本が書けるほど、いろいろな出来事がありました(笑)。
GEから同行する社員は皆、各事業部門のトップで、日本に法人格を持っている部門であれば、その肩書きは社長です。つまり、GEの日本法人の社長たちが、このプロジェクトでは、私の指揮下に入るということになります。
私はGEに入るまで日本企業でしか働いたことがありませんでしたから、自分よりも上位職位者の人たちに役割を振って、いろいろと細々としたことを私のサポートとして動いてもらうことに対して大いに気が引けました。なぜなら彼らは、参加者であるお客様企業やビジネス・パートナー企業の経営トップのアテンドをするだけでも結構大変なのです。1人のGE社員が平均で3~4人のお客様参加者のアテンドをします。
しかもクロトンビルの研修センターには宿泊施設がありますので、アテンドは朝食から夕食後のバーでの飲み会までのフルアテンドになります。ですので、私は極力彼ら同行社員に負担をかけまいと、事務局業務を抱え込んでしまいました。開催準備期間からずっと毎日、3~4時間睡眠で対応していましたので、疲労の色は自然と出てしまっていたのでしょう。
プログラムの2日目くらいに、GEの同行社員であるビジネスリーダーたちが、「もっと仕事を振ってくれていいんだよ」と声を掛けてくれました。私はその言葉に対して礼を言いましたが、それまで彼らと深く触れ合ったことがなかったので、彼らの真意が理解できず社交辞令と言いますか、労いの言葉くらいにしか受け止めていませんでした。(続く)