今を生きる(2)

「カーペ・ディエーム」。今は亡き名優、ロビン・ウィリアムズ主演の映画『いまを生きる』で、ウィリアムズ演じるキーティング先生が発するラテン語です。ゆっくりと、そして力強く「カーペ・ディエーム」と生徒に語りかけるシーンはとても印象的です。

私はてっきり彼女も、クロトンビルの同僚たちと同じように、だれか歴史上の人物や著名な経営者などの名言を「好きな引用文」として取り上げたのかと思っていましたので、ちょっと意表を突かれました。

彼女がリーダーシップに関する引用文として「カーペ・ディエーム」、日本語では「今を生きろ」、「今をつかめ」という言葉を採用したのは、当時のクロトンビルの研修コンテンツの方向性から考えても、明らかにマインドフルネスを意識していたのであると思います。

彼女の自己紹介スライドは、私たち部下が必ず見ることも意識していたでしょう。つまり私たちに対するメッセージでもあったわけです。

この話を含めてマインドフルネスの大切さを研修で話しますと、過去を振り返ることや将来を設計することは大切ではないのかと、早とちりする人がたまにいます。こうした人はそれこそ私が過去と将来についての話をしている「今」に集中できず、頭の中で妄想が展開してしまうのです。

言うまでもないことですが「今に集中する」ということは、決して過去はどうでもよいとか、将来のことなどどうなるか分からないから考えるだけ無駄というものだ、などということを意味していません。

私たちは、目の前のことに集中しなくてはならないときに、ついつい過去のことを悔やみ、将来のことに不安を覚えて、その瞬間に意識を向けていないことがあります。過去について振り返るときはしっかりと振り返り、将来のことに思いを馳せるときにはそのことに集中すべきです。目の前に対処すべきことがあるのに、過去や未来のことに煩わされてはいけません。

今というその瞬間に集中できれば、過去や未来の出来事と目の前のことを混同することがなくなり、心が乱されるということはなくなります。

2024年12月09日