研修の備品~フリップチャート(2)

GEで研修を行っていたときによく見かけた光景は、参加者たちが休憩時間に自分たちのチーム討議の結果が書かれたフリップチャートだけではなく、他のチームのものについてもスマートフォンで写真を撮っていたことです。

研修のすべてのプログラムが終わるまでずっと壁に貼ってありますので、何日か前の議論に関するフリップチャートの記録を撮ることもできます。複数日にわたる研修であれば、なおのこと研修の経緯が見えるようになっていることが大切です。

トレーナーとしても、「おととい皆で議論した○○との関連で言うと」という具合に学習内容の関連付けをするとき、壁に貼ってあるフリップチャートを指しながら話をすれば、参加者もそのときのセッションや討議を容易に思い出すことができます。参加者の記憶を、モジュール間の関係性とからめて喚起しながら説明することによって、より一層体系的に研修のコンテンツを理解してもらうことができます。

ホワイトボードを使って議論し、その結果を発表して、そのモジュールが終了したらホワイトボードを消して、次のモジュールでまた同じ事を繰り返しますと、研修の過程や結果について何も残りません。

そうなりますと、今議論しているモジュールと、他のモジュールとの関連付けや、研修全体の中における今のモジュールの位置付けなどをいくら言葉で説明しても、頭の中で思い起こす材料としての記録は、すでにホワイトボードから消されてしまっていますので、参加者が研修内容をより良く理解することが難しくなってしまいます。

そして最悪の場合、参加者たちは追い立てられるように討議を繰り返したことによる徒労感だけが残り、研修の全体像が見えないまま、「やらされ感」を抱いて会場を後にすることになってしまいかねません。

フリップチャートの経費がかかる、使用後の後片付けが面倒だなどと考えてはいけません。費用対効果を考えれば、ホワイトボードの比ではないことは明らかですので、ぜひ導入してみてください。

2024年11月14日