GEはもちろん、外資系企業の会議や研修で欠かせない研修備品の1つが、「フリップチャート」です。日本企業の研修でこのフリップチャートを見かけることはまずありません。その代わり、ほぼ100%ホワイトボードが使われています。私はGEに入ってからフリップチャートを使い始めましたが、その便利さや有用性を実感しましたので、ここで紹介したいと思います。
ホワイトボードとフリップチャートの大きな違いは、議論や思考の経緯を一覧で見られるかどうかです。ホワイトボードは、表面と裏面を使ってしまったら、それ以降の議論のために使用するには、どちらかの面に書かれた文字などを消さなければなりません。
仮にコピー機能が付いたホワイトボードを使用していたとしても、コピーされた紙が小さくて、チームで一覧用として共有するためには適していません。そしてたいていの場合、そのコピー機能は壊れているのですが、修理せずそのまま放置されていることが多く見かけられます。ということは、そもそもコピー機能をあまり使っていないということになります。
一方フリップチャートは、書き終えた紙は切り離して、マスキングテープで研修会場や討議室の壁に張ることができます。時間の経過と共に、チームあるいはクラス全体の討議、トレーナーからのレクチャーのポイントなどが書かれたフリップチャートが、研修会場の壁を埋めていくことになります。これがホワイトボードとの決定的な違いになります。
議論や研修そのものの経緯が一覧で見られることがなぜ大事なのかについては、言うまでもないことです。つまり研修の大目的と各モジュールの目的や位置付け、また各モジュール間のつながりを、参加者が自分たちで書いた紙で一覧できるようになっていれば、研修内容を理解するために役立つだけではなく、議論の蓄積を見える化することで達成感も味わうことができます。(続く)