ある有名な会社の話です。売上高はグループ企業連結ベースで約2兆円に迫る大企業。
トップの号令で組織文化変革のプロジェクトがスタートしました。
まずは執行役員を集めてキックオフを開催し、トップ自らがこのプロジェクトの意義や展開方針について述べました。それに引き続き、担当者から具体的な施策や展開方法について説明。
その最中、大ホールに集まった役員たちの目を見てみると、きれいに20:60:20に分かれてたといいます。
20は興味ありそうな目。60は積極的でも消極的でもない目。残り20は明らかに不快感を浮かべた目。
翌月から部長層、課長・主任層に対して研修を展開しましたが、それぞれの反応も異なりました。若手中堅社員は、他社から転職してきた経営トップが主導するこのプロジェクトをきっかけとして、会社が変わってより良い方向に進むことを期待していました。
典型的な日本の経営スタイルをとっていましたので、意識の高い若手中堅社員は、当然のように旧態依然たる幹部層に対して不満を持っています。一方、部長層はどういう反応だったかというと、想像通り「面倒くさいなぁ」、「余計なことしてくれるなよ」という気持ちが表情や態度にありありと出ています。
その会社ではトップの強いリーダーシップによって、事業、人、組織についていろいろな改革が進められてきました。ところが一部の(あるいは半分くらいの)部長層、執行役員たちの本音は、「嵐が通り過ぎるのを待っている」というものでした。
彼らのキーワードは「保身」。経営トップの思いとは裏腹に、幹部層の望みは、なんとか自分のテリトリーを侵されないこと。今までと同じことをすること。
当然、結果は変革を拒むことになります。
正面からノーとは言わないまでも、面従腹背を決め込みます。(続く)