前回のブログで「まぜるな危険」という話をしました。混ぜてしまうと1番やっかいなのが、「自分は優秀であり、このような研修に参加する必要などない」と考えているような人たちです。
このやっかいな人を排除できない、排除しようとしない研修事務局が、こうした態度を取る人たちに対して、毅然とした態度で考えや態度を改めるよう対峙するということも、まずありません。だいたいが放置です。そもそもそうした参加者の態度や言動に気がついていない事務局が多いのも問題です。研修会場の後方の座席に座って必死になってメールを打つためにパソコンと格闘していて、参加者のことなど見ていないのですから。
話を戻します。もしあなたが外部講師として、こうしたやっかいな人たちがいるクラスの研修をしなくてはならないとしたらどうしますか、という問いを前回のブログで発しました。いくつかの選択肢が考えられます。
1つ目は「無視する」。そうした人はいないものと決め込んで、そうした人々に視線を向けない。この場合、そのやっかいな人たちは、ますます増長して態度を硬化させます。そしてやがてグレシャムの法則、「悪貨は良貨を駆逐する」という状態になってしまいます。
2つ目は、「事務局を通じて注意してもらう」。研修参加者をお客様扱いする会社が多いので、あなたが事務局に依頼した場合、返事は「わかりました」と言うかもしれませんが、きちんと対処してくれるかどうかはわかりません。
3つ目は、「直接注意する」。外部の人間として、できるでしょうか?そもそもここで言うやっかいな人は、外部の研修講師のことを単なるベンダーくらいにしか思っていないから不遜な態度を取るわけです。ですので、仮に直接注意しても反発する、あるいは反発心を抱くことはあっても、あなたに従うことはないでしょう。
さぁ、どうしますか?私は、こうした人たちがいると燃えます(笑)。イソップ寓話の『北風と太陽』に例えれば、太陽の戦略を取ります。謙虚さが足りない人たちというのは、自尊心が欠如している人たちでもあるのです。こういうやっかいな人は、まずその自尊心を満たしてあげること、その承認欲求を満たしてあげることが大切です。
自分はここにいる。自分の意見を聞いてほしい。自分の存在を認めてほしい。自分を尊重してほしい。こうした欲求は誰でも持っています。やっかいな人は、その欲求を人一倍強く持っているので、無意識のうちに不遜な態度や言動でアピールするようになるのです。ですから、まずはそれを満たすようなファシリテーションを心がけると良いです。
当初は、腕を組んで、足を組んで、首を斜め45度にして椅子の背もたれに寄りかかり、後ろ方向に反るようにしていたやっかいな人が、だんだんと正常の姿勢になり、やがて前のめりになっていく様子を見ると、私は妙な達成感を覚えるようになりました(笑)この数年は、研修が始まると、まず、このやっかいな人々を探すのが楽しみになりました。