研修でよくある質問(2)

将来の職業として第1志望は学校の先生になること。教員試験に受からなかったら企業に就職するのが第2志望。そしてその会社はゴルフの実業団で強いところと決めました。

大学の教育学部の案内を購入し、社会科の教員資格が取れる学科のページを見ようとパラパラとめくっていたら、指が滑って別のページで止まりました。そこは「社会教育専修」というコースのページでした。社会教育などという言葉は見たことも聞いたこともありませんでしたが、少し興味を引かれて読んでみました。

子供を教えるのが学校教育で、大人を教えるのが社会教育だといった説明がありました。大人を教えるという世界があることなど、当時の高校生であった私には知る由もないこと。ですが、なぜかわかりませんが私の頭の中に、「子供を教えるのも良いけれど、大人を教えるというのも面白そうだな」という考えが浮かんだのを、未だに覚えています。

その社会教育専修の案内ページをよく読んでみたら、中学・高校の教員免許と大人を教える社会教育主事補の資格が取れると書いてあり、まさに一石二鳥。ここを第1志望に設定して、受験勉強に励みました。幸いにも合格し、産業教育のゼミに入り、ゼミ論は「職務分析」、卒論は「企業組織と能力開発」を書き上げました。

タイトルは格好良いのですが、中身は完璧な素人考えでした。しかし卒論では、当時アメリカで脚光を浴びていたCDP(Career Development Program)が、日本の企業組織でも展開可能かどうかを検証したところは、なかなか良い目のつけどころではなかったのかと自負しています(笑)。

以来、約40年間、企業の人材開発に携わることになったのですが、もし大学の入学案内書をめくっていたときに指が滑らなかったら、今の仕事をしていたかどうかわかりません。すなわち、研修の参加者から最も良く聞かれる「今の仕事をするようになったきっかけは何ですか」という質問への答えは、「指が滑ったから」ということになりますかね(笑)

2024年09月29日