従業員をエンゲージするために(1)

ギャラップ社のエンゲージメント調査の結果が発表されるたびに、日本企業で働く従業員の惨憺たる結果がニュースで報道されます。直近の結果でも、従業員の95%が職場で生き生きと活躍できておらず、4分の1近くが「全くエンゲージしていない従業員」で、会社の評判を落とすようなふるまいをしているということです。

従業員のエンゲージメントに与える影響の70%は、上司によるものであるということも報告されていますが、実は研修の場も従業員をエンゲージする絶好の機会なのです。近年、日本企業でもエンゲージメントについて問題意識を持つようになりましたが、こうした調査結果を見ますと、あまり実効性のある対策が講じられていないようです。

GEでは40年以上にわたって、従業員のエンゲージメントに取り組んできましたので、マネジャーに対する研修や職場での展開がシステマチックに行われてきました。詳細については拙著『世界基準の部下の育て方』をご参照ください。

さて、あなたの会社では研修を従業員のエンゲージメントを高めるための諸施策のひとつとして位置づけていますでしょうか。私が働いていたGEクロトンビルの研修は、大変効果的なエンゲージメント機能を発揮していました。その結果として、優秀な従業員に対する強力な引き留めツールとしても機能していました。

クロトンビルで働く私たちの「裏ミッション」は、「従業員が他社からヘッドハントのオファーを受けた時、もし転職したらもうクロトンビルの研修を受けられなくなるので、そのオファーを受けることを思いとどまらせる」ようにすることでした。

「思いとどまらせるようにする」と口で言うのは簡単ですが、もちろんその実行は難易度が高くなります。つまりそれくらい魅力的な研修を提供するということが求められるからです。
(続く)

2024年09月23日