毎年、年末を迎えると「おせち料理」を注文します。二段重ねや三段重ねの重箱にぎっしりと詰まったおせち料理を見る度に、毎年同じことを思い浮かべます。それは、研修の問い合わせを受けて顧客と打ち合わせをすると、先方のリクエストを全て満たそうとするとおせち料理みたいな研修プログラムになってしまうということです。
幕の内弁当ならまだ、おかずとおかずの間に多少の空間があって見た目も良いのですが、おせち料理はいつもぎっしりと詰め込まれていて、見るからに苦しそうな感じです。また、一品ずつ素晴らしい味なのでしょうが、いっぺんにいろいろと食べると何が何だか分からなくなってしまうのが、おせちを好きになれない理由です。
研修も同じです。学習アイテムをリクエストする側は、あれもこれもととにかく漏れがないように網羅的にリクエストしてきます。その内容であれば5日間は必要であろうと思うものの、たいていの場合、そうしたおせち料理のようなリクエストをする人は1日でやってほしいと言うのが常です。
コンビニができて365日24時間営業という業態が定着してからは、スーパーやデパートなども年末年始のお休みがなくなり、年末を迎えて正月が来たという実感がなくなりました。せいぜいテレビで正月の特番を見ながらおせち料理を食べたときに正月を実感するくらいでしょう。
研修も「ああ、キャリアの節目を迎えたのだなぁ」と、組織の階層をステップアップしたことを実感してもらうだけがその目的であるのなら、おせち料理みたいに全体の整合性は気にせず、美味しいものをできる限り詰め込むというのもあり得るかもしれません。
しかし、研修がそうした通過儀礼的なもので済まされた時代はとっくの昔に終わっています。日ごろ食べ慣れないものを食べると消化不良や腹痛を起こしてしまいますが、研修も同じです。研修内容についても参加者が理解できないようなものばかり教え込んでしまうと、負の副作用が出てしまいます。この点については十分に気を付けなければいけません。