失楽園

『失楽園』を夢中で読みました。渡辺淳一のベストセラーではなく(笑)、古典であるミルトンの失楽園です。

研修で参加者と議論していると、よく部下に対する動機付けの話題になります。その際私は、西洋と東洋の伝統的な勤労観の違いについて言及してきました。そしてそれぞれの勤労観が形成されてきた歴史的、宗教的背景についても話をするようにしてきました。

しかしいずれの解説についても、リーダーシップ研修あるいはマネジメント研修という枠組みの中で行われる話ですから、とことん深掘りをすると相当脇道に逸れてしまうことになります。従って、その話の深さについてはある程度のところまでで良いだろうと自分自身に対して許し(言い訳)を与えてきていたように思い、反省しました。

ビジネス書を読むことも大切ですが、古典や歴史から学べることは無尽蔵と言っても良いでしょう。そのことは誰でも分かっていると思います。しかし、なかなかそうした本を手に取ることができません。仕事で忙しい、あるいは直接仕事に役立たない、そうした心理が働くのでしょう。

以前、本ブログでも紹介しましたが堕天使ルシファーについて大変興味を引かれ、その後の研修では自分の心に住む悪魔との対話セッションを導入するに至りました。その肝心の悪魔ルシファーがどのように生み出されたのか、西洋人の多くが信じるキリスト教の根源的な思想がどのように勤労観に影響を及ぼしているのか知りたいという気持ちが強くなり、先週から『失楽園』を読み始めました。

今までなんとなくぼんやりと理解していたことが明瞭に分かったこともありますし、また全く知らなかったことがどんどん出てきて、大変興味深く読み進めることができました。

大学生の頃にダンテの『神曲』にチャレンジしたのですが挫折してしまいました。単なる興味関心では読み切ることはできなかったのです。興味関心と個人としてのニーズがないと難解な古典を読み切れない私は、まだまだ未熟なのですね。

2024年06月23日