困ってしまった経験(6)

⑤お昼を用意してくれない
過去40年間、数多くの企業で研修をしてきましたが、お昼を提供してくれない会社が2社ありました。

お昼休みになったら、参加者とともに近所のコンビニに行き、おにぎりと飲み物を買ったことは忘れられません。

どんなに安価なお弁当や社員食堂の質素な食事でも、提供していただけること自体、とてもありがたいことであると思います。

初めてお昼を提供してくれなかったある会社の人事責任者が転職し、その転職先の会社の研修を依頼されました。その転職先の会社は誰でも知っている有名な飲食業の会社で、とても立派な社員食堂を備えていました。

研修担当の人が、「自慢の社食です。いろいろなメニューがありますので、ぜひ社食でお昼をお取りください。支払いはSUICAなどでできますので」と。

私は「お気遣いありがとうございます」とお礼を述べて、お昼休みになったらさっさと近くのコンビニにおにぎりを買いに行きました。

こちらは別に弁当代をケチっているわけではありません。社食で長い列に並ぶ、あるいはコンビニに買いに行ってレジで長蛇の列に並び、また会場に戻って来るという時間がもったいないのです。

研修中は頭をフル回転させていますので、コンビニで何を食べるかということに頭を使いたくないから、おにぎりを買ったのです。別におにぎりが好物な訳ではありません。

お昼を提供してくれない会社の研修会場に戻り、私は一人でおにぎりを食べていました。すると研修スタッフの2人が、どこかで買ってきた弁当を持って、「ご一緒してよろしいでしょうか」と。

まったく悪気のない感じで言ってきたので、研修講師には食事を提供しないものだと、転職した人事責任者から言われているのだろうなと確信しました。私は「どうぞ」とテーブルの向かい側の席を勧めました。

まったくどうなっているのかと、人ごとながら心配になりましたが、ほどなくしてその人事責任者は会社を去ることになりました。

2025年10月20日