困ってしまった経験(2)

では、どのような場面に遭遇したのか、具体的に見ていきましょう。山のような具体例がありますが、いくつか本当に困った事例をご紹介します。

① 会場の設定が違っていた。
研修会場の設定はとくに重要です。理想的な会場は、横長あるいは正方形です。

縦長の会場は、一方的な知識の付与や情報提供のような会議なら良いかもしれません。

あるいは講師が前方の講師席にずっと座りっぱなしで、延々と一方通行の「講義」をするようなスタイルなら会場の形などどうでも良いでしょう。

しかし、参加者のマインドセットを変えたり、エネルギーを与えてエンゲージメントを高めたりするような研修では不向きです。

こうした研修では、講師が会場内を歩き回って、いずれの参加者とも物理的に近づくことが大切です。なぜなら心理的距離は物理的距離と比例するからです。

会場が縦長か横長かはクライアントの担当者と事前に打ち合わせをする段階で確認しますので、あまり問題は起こりません。

問題は、私とクライアントの間に研修ベンダーが入る場合です。そのベンダーの窓口が新任で、クライアントの都合で縦長の会場しか確保できなかった場合、そのままにしておいて、私に事前に知らせないということがありました。

最悪なケースは、ベンダーが私には横長あるいは正方形の会場を用意したと言っておきながら、当日行ってみたら縦長あるいは狭すぎる会場だったということがあります。

縦長の会場というのは、距離の関係で後方に着席している参加者をエンゲージするのが難しいことや、参加者の間を移動しながらやり取りをするようなインタラクティブなセッションをしづらいのです。

事前に縦長の会場であるとわかっていれば、コンテンツや討議のやり方を変えておくのですが、当日ではその対応は難しくなります。(続く)

2025年10月08日