一方、日本企業のグローバル研修を行ったところ、それまでに感じたことのない違和感を覚えました。
とにかくこちらからの質問への反応がない。質問を促しても質問がない。エキサイティングなやり取りどころか、普通の質疑応答が成立しないのです。
「あれ、これって日本企業で日本人を教えているときと同じような反応だな」と思いました。しかし私の目の前には、確かにさまざまに国から選ばれた参加者が座っているのです。
ほかの日本企業のグローバル研修でも、私からの投げかけに対する反応や、チーム討議の様子は、同様にあたかも日本人のようでした。
日本企業で働くことを希望する外国人は、日本人的な思考や振る舞い、穏やかな社風などをよしとして応募してくるのでしょう。
また各国で採用する側としても、自社の日本企業的風土に合いそうな人を採用しているのでしょう。
大手の日本企業で人事部長を務める友人にこの話をしたとき、現地の採用責任者である人事のトップを日本人が務めている場合、この傾向は強くなると言っていました。
それが良いとか悪いとか言うつもりは毛頭ありません。人それぞれ、企業もそれぞれですから。
そんな違和感を覚えていたとき、ある話を思い出しました。GEにいたときに中国人の同僚から聞いた話です。
中国では、バリバリ働いてキャリアを積み上げていこうという上昇志向の強い人は、アメリカをはじめとした外資系企業で働くが、そこまでして働きたくないという人は日本企業に応募するということでした。
この傾向は、どうも中国だけに限った話ではないように思えてきました。(続く)