有名な登山家が言ったことですが、優秀な登山家というのは、単に高い山を征服できる人のことを言うのではなく、高い山を征服したチーム全員を無事にベースキャンプまで連れて帰ってこられる人のことを言うと。
この話を知ったとき、これはキャリアと似ている話だなと思いました。
例えばプロ経営者だともてはやされ、華々しい経歴を持つ人がいます。ですが、その「華々しい」ポジションに就いていたのは、キャリア全体の一部であることがほとんどです。
プロ経営者に限らず、人が自分のキャリアを語るとき、山に例えれば「山頂」の話をしていることが多いのではないでしょうか。
山頂に登った人は、いずれ麓に帰らねばなりません。しかも転げ落ちて麓に帰るのではなく、無事に帰ることが必要なのです。
プロ経営者として名をはせた人が、後にスキャンダルにまみれることがあります。あるいは大企業の経営トップになった人が、その後なんだかぱっとしない会社の社長を2-3年単位で転職していたりして。
それはあたかも山の下り斜面を転げ落ちる岩のようで、転がっているうちにだんだん小さな石になったり、最悪の場合、砕け散ったりしていく姿に似ています。
登った山は降りなくてはならないのは必定です。(続く)