昔と比べて、研修講師用の控え室を用意してくれる企業が少なくなったように思います。
研修の世界に約40年間おりますが、私が研修の事務局をしていた企業・団体では、研修や講演を行う場合、主会場のほかに講師控え室を用意するのは常識であると思っていました。
自社の研修施設を持たない企業は、外部の研修施設やホテルを借りて研修を行うことになりますが、会場を手配するときに、おそらく経費節約ということで講師控え室は手配しないのでしょう。
あるいは、そもそも講師控え室を用意するという概念がないのかもしれません。
またあるいは私などは、控え室を用意するほどの講師ではないということが主な理由である可能性もあり、それを考えると自らのふがいなさを恥じ入るばかりですが。
講師控え室は、若かった頃の私にとっては絶好の「学びの場」でした。研修の開始前に、研修の概要や、参加者に関する情報などをコンパクトかつ的確に伝えることが、講師控え室での一番目の仕事です。
また、スライドの投影や資料配布などロジスティクス関連の確認も大切です。忙しい講師の場合、この確認を怠ると研修中にトラブルを引き起こしかねません。
必要な情報提供と確認が終わったら、コーヒーなどの飲み物を飲みながら、講師の邪魔にならない程度の時間を、雑談などしながら講師にリラックスしてもらえるよう務めます。
この雑談も意外と難しく、講師の反応を見ながら行わないとかえって講師の邪魔になり、マイナス効果になってしまいます。研修や講演前は、一人になって集中したいというタイプの人もいますので、その見極めが肝心です。
何気ない雑談の中から、講師がどういうタイプの人かを短い時間で見極めることを積み重ねますと、共感能力が高まり対人感受性が養われます。(続く)