出張に持って行くと便利な物は何ですかと問われた場合、その答えは人それぞれでしょう。
私の場合は、20~30代の頃はビクトリノックスのマルチツールを持って行きました。ナイフとはさみ、爪ヤスリ(先端はマイナスドライバー)が備わったシンプルな物でした。
20代後半の頃、南米旅行に行ったときにもそれを持って行きました。成田空港でチェックインするときに手荷物検査がありましたが、その際、このマルチツールが引っかかりました。
ナイフが付いていますので、今でしたらスーツケースの中に入れて預け荷物にしなくてはなりませんが、40年前の話ですので、機内持ち込みの鞄に入れたままでした。
空港の係官から、「これは機長預かりになります。現地に着いたら、返却されます」と言われました。
搭乗が始まり、席について少ししたら客室乗務員が小さな袋を持って来ました。彼女曰く、「機長が確認し、問題ないので返却する」ということで、現地の到着を待たず、離陸前に機内で返却されました。平和な時代でした。
40代になりますと、ある会社からノベルティーとしていただいたビクトリノックスのスイスカードを持って行くようになりました。
クレジットカードと同じ大きさの薄型カードにさまざまなツールが10機能格納されていて、大変便利です。このカードにもナイフが収納されていますので、飛行機に乗る場合は、預け荷物に入れるようにしなければなりません。
10数年前、アメリカに出張する際、ついうっかり預け荷物にスイスカードを入れるのを忘れてしまいました。薄いカードタイプのものなので、いつもペンケースに入れていたのです。それを手提げ鞄の中に入れたまま、手荷物検査場まで進んでしまいました。
スイスカードのナイフは、刃渡り3.5cmくらいのものですが、しっかりと検査に引っかかってしまったのです。
機長預かり、などという寛大な処置(?)はあるはずもなく、その場で廃棄するか、もう一度チェックインカウンターに戻って、カードだけを預け荷物として預けるか、という選択を迫られました。
その場で廃棄するという選択肢はなく、大変面倒でしたがチェックインカウンターに戻り、カードだけを預け荷物としました。
ニューヨークのJFK空港に着いた後、預け荷物が出てくるターンテーブルに、私のスイスカードだけが入った小さな箱が、大きなスーツケースの間にちょこんと並んで出てきた光景は、ちょっとかわいい感じがしたものです。
スイスカードは出張中、いざというときに役立ってくれる頼もしい相棒です。今年のクライアントへのギフトは、スイスカードにしようと思っています。