アクションラーニングの第1の狙いである「思考の訓練」は、最低限の狙いになります。ただしこの狙いだけのためにアクションラーニングを実施するということは、いかがなものかと思います。
なぜならアクションラーニングを実施するとなりますと、参加者の負担は大きくなります。思考の訓練だけを狙いとするのでは、アクションラーニングを行うことで発生する負担とは釣り合いません。思考の訓練のみを狙いとするのでしたら、市販のケーススタディーを議論するほうが良いでしょう。
第2の狙いである、現実にある問題解決や課題達成については、そのポイントはテーマ設定です。アクションラーニングの「テーマあるある」は、新規事業開発です。これは一見、チャレンジングなテーマで良さそうに思えますが、実はその成果を見たという話を聞いたことがありません。
参加者も自分事ではないのでいろいろな意見を出すことができて、「研修をやった感」を得られてしまいます。提案を評価する役員たちも、本気で研修参加者からのアイデアを取り入れようと考えているか疑問で、当たり障りのないコメントをします。評価者側も、これによって「研修をやらせた感」を得られてしまいます。
これらの問題は、アクションラーニングのテーマ設定を誰が行っているのか、ということによって発生します。人事部や経営企画部など、評価者ではない人たちが考えて設定していると、当たり障りのないテーマになってしまいます。ましてや研修ベンダーに任せたりしますと、すぐに新規事業提案になってしまいます。
(続く)