I don’t know (2)

その会社の研修スタッフは、2-3年のサイクルで人事異動があり、研修部門に配属される人はそのすべてが、それまで研修とは縁もゆかりもなかった人たちです。日本企業ではこうしたことは普通のことですね。

ある件で、研修の担当者から相談があるということで、オンラインで会議をしました。その相談事は、研修の世界に40年間身を置いている私から見たら、明らかにおかしい内容でした。

相談だと言うから、こうしたほうが良いですよとアドバイスを与えたのですが、この件はすでに上司の承認をもらっているということで、提案の内容でやりたいと言います。

その上司というのも、最近異動で着任したばかりの人です。担当者はすでに、その人の決裁を仰いだのでしょうから、すでにその組織内では決まったことであり、私への相談は相談ではなかったわけです。

研修については知識も経験もない人が意思決定をしなくてはならないのはつらいことでしょうが、そこは部下を信頼して「良きに計らえ」、「御意」といったやり取りがあったのだろうと想像してしまいます。

ですがその上司が、「自分にはわからないので、ずっと講師をしてもらっている田口さんにアドバイスをもらってみたら」と、ソクラテスの「無知の知」並の知見や勇気があったのなら、私に対する「相談(という名の伝達)」は本当の意味で相談になったことでしょう。

2025年03月17日