性弱説

性善説や性悪説という言葉は良く聞くものですが、性弱説という言葉を聞いたことはありますか?食品会社の味の素では、「人間は善い生き物でもなく、悪い生き物でもない。誘惑があれば負けてしまう弱い生き物である」という考えがあるそうです。

同社は世界中で現地採用の社員を使って、市場で商品を行商して歩き、味を現地に根付かせるという活動を行っていて、その実行部隊は社内で「グリーンベレー」と呼ばれているとか。そのグリーンベレーのメンバーが共有している考え方が性弱説だというのです。

その考え方を前提として、悪い行動に走ることなく、かつ意欲を持って目標達成ができるよう後押しする様々な仕組みを会社が作っているわけです。そしてこの部隊が世界各地で成功を収めていることを知り、なるほどと思いました。

私が2016年に書いた『経営幹部 仕事の哲学』の中で、エグゼクティブ・リーダーシップに欠かせないポイントを紹介しました。その中のひとつが「心の中の悪魔を飼い慣らす」という考え方です。

人は未知の状況に直面したとき、あなたに悪魔がささやく瞬間が訪れます。従って、未知の状況に直面したときに、自分がどのように反応する傾向にあるのかをあらかじめ知っておくことは大切なことです。

悪魔のささやきは、ごくたわいないものから、大魔王サタンが命じたのではないかと思うような恐ろしいものまであります。気を付けなくてはならないのは、悪魔がささやいている瞬間は、それが悪魔のささやきであると認識できないということです。

毎日のようにメディアを騒がせる不祥事は後を絶ちません。性弱説という立場に立って、心の中の悪魔を飼い慣らす訓練が必要な時代になったのではないでしょうか。

2025年03月12日