内製 vs. 外注(1)

人材開発の実務をしていますと、研修プログラムの内製化と外注の問題に悩むことがあります。ある巨大企業グループ全社の研修シェアードサービスを担う研修子会社は、完全に卸問屋のような機能になっています。

つまりほぼ99%内製せず、研修ベンダーのコンテンツをそのままグループ各社に提供しています。
ベンダーとしてグループ会社への直接取引は禁じられていて、必ずその研修子会社を通すように求められます。

こうしたケースは極端な例ですが、多くの企業の人材開発を担当している人たちも、実は根底の部分でこの卸問屋に近い考え方を持っているのではないでしょうか。日本企業の人材開発担当者は、ほかの職種と同様、ローテーションでたまたま担当しているというケースが多いでしょう。

その道の「プロ」レベルの人が、企業で実務をしている比率はとても低いと思います。なぜなら、辞令によってまったく異なる職種への異動があり得ますから、せっかく習得した人材開発に関するスキルも中級レベルどまり。

一方、人材開発こそ我が道と、たまたまローテーションによって担当したにもかかわらず、ハマってしまう人もいます。この人たちは人材開発と関係ない部署への異動を望みませんから、会社を辞めて独立したり研修ベンダーに転職したりします。

するとどうしても、中程度の知識とスキル、経験を持った人たちが企業の人材開発実務を担当することになります。そうなりますと、自力で優れた研修プログラムをつくるということは、その能力から言って難しいということになるでしょう。従って外部のベンダーに頼ることになります。

この外注は間違いではありませんが、決して上述した「卸問屋」になってはいけません。

2024年05月12日