うちの社員は頭がいいんです(2)

事務局のオリエンテーションに続いて私が話し始めましたが、しばらくすると驚きの光景がまた目に入りました。
参加者のほとんどが、腕を組んで脚を組んで、首は斜め45度。目は疑いのまなざし。8割強の参加者はメモを取る気配もありません。

ふと気がつくと、研修開始前に事務局が各チームテーブルの真ん中に積んでおいたテキストが、そのままの状態になっているではありませんか。私が、「テキストの○ページの空欄に記入してください」と言ったところ、参加者は初めてテキストをテーブルの真ん中から取りました。「さすがIT企業。コマンドを出さないと動かないんだな」などと心の中で皮肉を言ったのはナイショです(笑)。

参加者約30人のうち、8割強がSEで、残りは人事部など間接部門とコンサルタントでした。SEの人たちのほとんどは、私の話をメモしません。ずっと腕を組んだままです。私は燃えました。なんとかしてこの人たちをコマンドなしで動かして見せようと(笑)。

SEに限らず技術系を中心に、多くの人たちは業務に直結するようなテクニカル・スキル、いわゆるハードスキルには興味を示す傾向にありますが、リーダーシップやマネジメントといった人がらみのソフトスキルには関心が低い傾向にあります。

そうした人たちでも、職位が上がって多くの部下を持つようになりますと、人に関するさまざまな問題に直面し、いやがおうでもマネジメントやリーダーシップへの関心を持たざるを得なくなります。

途中の休憩時間に、研修の担当者に「ほとんどの人がメモを取っていませんね」と言ったところ、その人は「うちの社員は頭がいいんです。メモを取らなくても覚えているんですよ」という回答がありました。私はその話が本当かどうか、試してみたくなりました。

(続く)

2025年02月26日