GEで働いていたとき、ドイツのミュンヘンで開かれた研修に参加するため、空港から市内に向かう途中、アウトバーンを走りました。私はタクシーに乗っていたのですが、そのタクシーは150km/hくらいで安全運転(?)をしていました。

片道3-4車線くらいあったと記憶していますが、私が乗っていたタクシーは1番遅い車が走る車線を走行していましたが、他の車線をビュンビュンと追い越していく車がたくさんありました。

それらは主に、ドイツを代表するメーカーのハイグレード車がほとんどでした。速度制限がない道路を高速で安定した走行ができるように作られている車は、高性能のエンジンを積んでいるだけではなく、200km/hを超えるスピードで走っていても、フルブレーキを踏んでもスピンすることなく止まることができるといいます。

高性能のエンジンを積んだ車は、高性能のブレーキを備えている。このことを知ったとき、私はすごいリーダーにも似たような事が言えるのではないかと思いました。

例えば経営者など高いポジションにいる人は、大きな権限、すなわちパワーを持っている。高性能のエンジンが発揮するような強烈なパワーです。そしてすごいリーダーは、そのパワーを制御する高性能のブレーキにも例えられる厳しい自己制御、自己統制の力を備えています。

一方、強大なパワーを持っていながら、自己を制御できない人は、その会社や働く人々を不幸にするようなスキャンダルを招いてしまいます。高潔な品性と倫理観、そして厳しい自己統制力を持っている人を経営幹部に登用し、さらに育てることが大切なことなのではないでしょうか。